2010年11月07日

太平洋戦争時代の様々なウォーシップ、「イギリス海軍潜水艦アップホルダー」


「アップホルダー」イギリス海軍潜水艦

アップホルダーは第2次世界大戦時のイギリス海軍の潜水艦として、最高の戦果を挙げました。ウォンクリン艦長に率いられたアップホルダーは地中海で活躍し、ドイツ軍の補給船に痛撃を加え続けたのです。

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*イギリス海軍の潜水艦建造

19世紀末から20世紀初めにかけて、イギリス海軍は世界の海軍をリードしていたが、潜水艦の導入は遅れていました。しかし第1次世界大戦直前から潜水艦の大量建造を開始し、終戦時には世界最多の潜水艦保有数を誇るまでになったのです。

イギリス海軍内部では第1次世界大戦後、潜水艦廃止も議論されていましたが、1930年にロンドン海軍軍縮条約が締結されると、状況が一変しました。この条約の結果、潜水艦の数を揃えるために、従来より小型の潜水艦を建造する必要に迫られたイギリスは、自国の近海などで使用する為に、小型の沿岸用潜水艦の計画を立てました。

これが、艦名が全てUを頭文字とするためU型と呼ばれ、当初は武装を持たない訓練用として計画された潜水艦です。


*マルタ島の潜水艦部隊

U型の特徴は、イギリスの潜水艦として初めてディーゼルエンジンで発電してモーターを回すディーゼル電気推進を採用したことです。この推進機構によって機関のコントロールが容易になりました。

外見上の特徴は、小型の船体に多数の魚雷発射管を搭載するため、前期型には艦首上面に外部装着式の発射管2門が装備されたことです。このため、艦首上面は大きく膨らんだ独特の形状となっています。

U型はイギリス近海での運用を前提として建造されたが、実戦で最も活躍したのは地中海でした。特にマルタ島に配備されたU型は、ロンメル将軍率いるドイツ・アフリカ軍団の補給線を脅かし続けたのです。

U型の前期型として建造されたアップホルダーも、竣工するとすぐに艦長マルコム・ディビット・ウォンクリン少佐に率いられてマルタ島に向かったのです。1941年1月24日の最初の出撃では、商船1隻を撃沈、1隻を撃破する戦果を挙げて幸先よい初陣となったが、これに続く4回の出撃では、まったく戦果を挙げることができず、ウォンクリン艦長の能力が疑われたほどでした。

しかし、4月21日からの6回目の出撃では、商船5隻を撃沈するという大戦果を挙げて面目を取り戻しました。そしてここから、アップホルダーとウォンクリン艦長の活躍が始まったのです。


*運命の25回目の出撃

7回目の出撃でアップホルダーは、イタリア陸軍の兵士多数を乗せた大型客船を沈めました。激しい爆雷の反撃を受けましたが、ウォンクリン艦長は平然と海底に潜み、攻撃が終わるのを見越したかのように、「そろそろお茶の時間だね」と言ったそうです。

その言葉がきっかけだったかのようにイタリア海軍の爆雷攻撃が終了したため、これ以来、艦長の「お茶の時間」という言葉は、敵の攻撃の終わりを意味するようになったのです。

ウォンクリン艦長はイタリア輸送船撃沈の戦果で、第2次世界大戦の潜水艦部隊で初めて、イギリス最高の勲章であるヴィクトリア・クロスを授与されたのです。以降、アップホルダーは出撃するたびにイタリアの輸送船を沈め続け、ロンメル将軍に燃料や武器弾薬、増援の兵士が渡るのを阻み続けたのです。

マルタ島を基地とするイギリスの潜水艦部隊の戦いは過酷を極めていました。ドイツ・イタリア軍の包囲下にあったマルタ島では、あらゆる物資が不足していたうえ、連日空襲を受けるため、港内に停泊中の潜水艦は、日中は潜航していなければならない状態だったのです。

このような状況下での潜水艦の出撃は、15回程度が限界と考えられていたが、ウォンクリン艦長は20回以上出撃していました。このためマルタ島の潜水艦隊司令部は、25回目の出撃を終えたら、ウォンクリン艦長以下を帰国させて休養させることにしていた。

しかしこの休養は果たされることはありませんでした。1942年4月6日に25回目の出撃をしたアップホルダーは、帰投しなかったのです。イタリア海軍の爆雷攻撃か機雷などで沈没したのではないかとされるが、真の原因は判然としていません。

しかしアップホルダーは、輸送船129,529トン、駆逐艦、潜水艦各2隻を撃沈し、その他多数の船を撃破するという、イギリスの潜水艦隊のなかで最高の戦果を挙げたのです。


*アップホルダー、データ(新造時)

水上排水:540トン
水中排水:730トン
全長  :58.22メートル
最大幅 :4.9メートル
機関出力:ディーゼル800馬力、モーター水上時615馬力、水中時825馬力
水上最大速力:12ノット
水中最大速力:9ノット
水上航続距離:10ノット時4,050海里
水中航続距離:2.5ノット時150海里
安全潜航深度:60メートル
武装  :53.3センチ魚雷発射管6門、魚雷10本、7.6センチ単装砲1基





posted by シン軍曹 at 20:56| Comment(24) | TrackBack(0) | イギリス海軍潜水艦 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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