2010年08月28日

太平洋戦争時代の様々なウォーシップ「アメリカ戦艦キアサージ」

アメリカ海軍のキアサージ級戦艦は、小型の船体に最大の武装を装備するために主砲塔の上に副砲塔乗せた2階建て砲塔を採用しました。しかし小型の船体に強力な武装を可能にすると思われたこの設計は、実用的ではありませんでした。

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*小型重武装戦艦の要求

19世紀末のアメリカ海軍は、依然、航洋性の低い沿岸防御用の戦艦を建造していました。当時のアメリカ戦艦が、基本的に沿岸防御を任務とし、航洋性を重視していなかったことと、議会が海軍予算を抑えたことにより、それ以上の戦艦を建造することができなかったのです。

しかしアメリカ海軍は、他国の戦艦に負けない重武装と重防備の戦艦の必要に迫られていました。苦肉の策として考えられたのが、戦闘力があり、しかも安く建造できる戦艦として1895年度計画に入れられたキアサージ級2隻だったのです。


*2階建て砲塔

キアサージ級の最大の特徴は、33センチ主砲塔の上に、20.3センチ副砲塔が乗った2階建て砲塔です。2階建て砲塔が採用された理由は、副砲の数を減らしても舷側方向への火力を落とさないためでした。

この結果20.3センチ副砲がインディアナ級の連装4基8門から2基4門に減少したにもかかわらず、全てを中心線上に配置されたため、舷側方向に向けられる門数は同等の4門だったのです。キアサージ級は副砲の数を減らして空いたスペースに、15.2センチ砲14門を装備することができました。

装甲も従来の戦艦では主砲塔の間の水平部にしか張られていなかったものが艦首まで延長され、舷側上部にも張られるように改善されました。またキアサージ級は主砲塔の動力が電動式となった最初のアメリカ戦艦でもあったのです。

こうした特徴を持ってましたが、キアサージ級は従来と同じ速力の遅い沿岸防御用戦艦でした。しかも画期的な新機軸として導入した2階建て砲塔は、下部の33センチ主砲塔と上部の20.3センチ副砲塔が固定されていたため、同一方向にしか向けられず、主砲と副砲を別の目標に向けることができなかったのです。

また2階建て砲塔は主砲塔の中に副砲塔の揚弾頭が通っていたため、砲弾を砲塔まで上げる揚弾装置が複雑なものとなりました。この結果、主砲と副砲の発射速度が大幅に低下してしまいました。

しかも同一の目標に射程の異なる砲を向けるため、照準や弾着観測が困難になったうえ、主砲塔は副砲の爆風にさらされることになりました。さらに1発の命中弾で主砲と副砲が同時に破壊される危険もありました。

*クレーン船へ改造

戦艦の生命である主砲塔の設計が失敗であったにもかかわらず、キアサージの生涯は長いものでした。1900年2月20日に竣工したキアサージは、艦隊に編入されたものの平和な時代だったため、目立った行動はありませんでした。

砲塔の爆発事故を起こしたため1906年キューバ動乱に参加せず、1907年から1909年にかけて行われたアメリカ艦隊の世界周航に参加したのを除くと、ほとんど活動しなかったのです。そのままいけば1922年ワシントン海軍軍縮条約で解体されるはずだったキアサージでしたが、1920年に武装を撤去し250トンクレーン1基を乗せたクレーン船に改造されたのです。

クレーン船となったキアサージは重量物の吊り上げ能力を活かして新造艦の砲塔や装甲鈑の取り付け工事に従事しました。また事故で沈没した潜水艦スコーラスの引き揚げも行っています。

クレーン船として生き残ったキアサージは1941年にクレーン船第1号と改名された後も活動を続け、最終的に除籍されたのは、第2次世界大戦終結から10年もたった1955年のことでした。キアサージは戦艦としてよりも、クレーン船として過ごした時間の方が長かったのです。

*キアサージ(新造時)データ

常備排水量  11,540トン
全長      114.5メートル
最大幅     22メートル
機関出力   10,000馬力
最大速力   15ノット
航続距離   10ノット時5,070海里
主砲      33センチ連装砲2基4門
副砲      20.3センチ連装砲2基4門
         15.2センチ単装砲14基
対水雷艇砲  5.7センチ単装砲20基
魚雷発射管  45センチ発射管4門


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2010年08月01日

太平洋戦争時代の様々なウォーシップ「軽巡夕張」

「軽巡洋艦夕張」

3,000トンに満たない船体で、5,000トン級の1等巡洋艦に匹敵する戦闘力を持っていた軽巡洋艦夕張は竣工当時、革新的な巡洋艦として世界の海軍に衝撃を与えました。目覚しい戦果こそなかったものの、夕張はその後の日本の巡洋艦設計の基礎となっています。

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*財政を圧迫する八八艦隊計画

大正時代の日本海軍は、戦艦8隻、巡洋艦8隻を主力とするいわゆる八八艦隊計画を立てていました。この計画では軽巡洋艦や駆逐艦も多数建造することになっていましたが、その厖大な建造費が日本の財政を圧迫したのでした。

このままでは予算不足で計画が遅れるだけでなく、達成できないことさえ考えられた為、海軍は建造費を低減させる方策を模索しました。しかし戦艦や駆逐艦はすでに建造途中であり、建造費を抑えることができなかったので、巡洋艦を小型化することになりました。

この小型巡洋艦建造を提案したのは、後に重巡古鷹を設計した平賀譲造船大佐です。平賀大佐は、当時建造されていた球磨型軽巡が排水量5,100トンなのに対して、排水量約3,000トンで同等の戦闘力を持たせることができると提案したのです。

平賀大佐の計算では、八八艦隊計画で建造予定の球磨型軽巡13隻を全て小型軽巡にすれば、戦艦1隻分の予算を節約できるはずでした。海軍はこの提案を受け入れ、1917年度計画で建造予定だった軽巡9隻のうち1隻を2,890トンの小型軽巡とすることにしたのです。

*5,000トン級の戦闘力の秘密

実験艦のような形で建造された夕張には、各所に革新的な設計が盛り込まれていました。外見上最も目立つのは、武装の配置と煙突の形状です。

球磨型が7門の14センチ砲を艦全体に装備し、舷側方向には6門しか向けられなかったのに対し、夕張は艦の前後部の中心線上に14センチ単装砲と連装砲を1基ずつ、背負式に装備していたので、全砲を舷側方向に向けられました。

この日本の軽巡では初めての試みにより、夕張は球磨型より主砲が1門少なく、魚雷発射管が半分なのにもかかわらず、舷側方向に向けられる門数は同等となったのです。また魚雷発射管も、球磨型が連装発射管4基を舷側に2基ずつ装備していたのに対し、夕張は連装発射管を艦の中心線上に2基装備していました。

このように、夕張が2,890トンの排水量で5,100トンの球磨型と同等の戦闘力を持つことができた秘密は、船体の基本設計を駆逐艦式として軽量化を図っていたことにあります。外見上のもう一つの特徴が、世界初となった誘導煙突でした。

従来の軍艦では煙突が缶室の真上に垂直に立っていたのに対して、夕張は前部煙突が缶室から大きく後方に傾斜し、後部煙突と合体した独特の形となっています。この誘導煙突は艦橋が缶室の真上に来てしまったために考えられたもので、設計を補佐した藤本喜久雄造船少佐の提案でした。

以後誘導煙突は日本の巡洋艦の特徴となりました。大和に採用された後方に傾斜した誘導煙突も、夕張から始まったのです。しかし大きく傾斜させたにもかかわらず排煙が艦橋に逆流したため、完成後には煙突を約2メートル高くする改造が行われています。

*世界の海軍が驚愕

革新的軽巡として完成した夕張でしたが、ワシントン海軍軍縮条約によって日本海軍が小型軽巡よりも重巡を重視するようになったため、同型艦は建造されませんでした。これには、建造費を抑えるために小型化された船体では、新しく開発された装備を追加搭載することができないという問題も関連しています。

太平洋戦争で夕張は、第6水雷戦隊旗艦として開戦時のウェーク島攻略戦を皮切りに、珊瑚海海戦や第1次ソロモン海戦などに参加した後、輸送船団の護衛や陸軍の輸送などを行いました。この間に、主砲2門を撤去して高角砲や機銃を増備するなどの改造を受けています。

改造後も護衛任務に従事していたが、1944年4月27日輸送作戦の帰路、アメリカ潜水艦ブルーギルの雷撃を受けて沈没しました。夕張は目立った戦果を挙げることはありませんでしたが、出現当時に革新的巡洋艦として世界の海軍を驚愕させたのです。

*夕張(新造時)データ

基準排水量 2,890トン
全長     132.9メートル
最大幅    12メートル
機関出力  57,900馬力
最大速力  34.8ノット
航続距離  14ノット時5,000海里
主砲     14センチ単装砲2基、連装砲2基、計6門
高角砲    8センチ単装砲1基
魚雷発射管 61センチ連装2基4門   


*太平洋戦争関連書物



*ゲーム

ラベル:軽巡洋艦 夕張
posted by シン軍曹 at 03:22| Comment(0) | TrackBack(0) | 軽巡洋艦 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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